一組のカップル

261 :1/2:2009/08/11(火) 21:58:25 ID:Uid3aVJp0
大学時代の帰宅中に遭った話。
当時は一人暮らしをしてたんだがおよそ駅から15分くらいの所に住んでた。
帰り道の道中は最初は商店街、途中からは閑静な住宅街といった所。
住宅街の通りは9時にでもなれば人通りがまばらになるような通りだった。
その日大学での講義を終えて電車に揺られ最寄駅に到着。
記憶が定かじゃないがおそらく9時過ぎだったと思う。
偶々家のミネラルウォーターが切れてたため両手に買い物袋をぶらさげて
「重いなぁ」などと他愛もない事を考えながらてくてく歩いてた。
何気なく前方に目をやると一組のカップルがいつの間にか
10mくらい先に同じ進行方向に歩いてた。
後ろ姿で判断するに男は20前後の若い兄ちゃん風。
帽子なんかをかぶってなかなかお洒落な感じ。
かたや女は痩せ型でおかっぱ。地味な色味の花柄のワンピースに
ベージュ(?)のパンプスといったなぜかそこだけ昭和ないでたち。
「なんだか変なカップルだなぁ」とは思ったが、
手に持った重い荷物を早く家に置きたくて黙々と歩いた。
事が起こったのはちょうど自宅に着く直前。
早く帰りたい一心だったからかいつの間にか前を歩くカップルに接近してた。

その時突然例の女が振り返り俺に向かって
「なに見てんだよこの下種野郎!!おまえqwらえd(以下聞き取れず)!!!」
噛みつかんばかりに罵声を浴びせる青白い顔の女。
ただただ意味もわからず買い物袋をぶらさげて呆然と立ちすくむ俺。
女はそのまま俺に吠えながら住宅街に消えてった。我に返りそそくさと家に帰宅。
なんだか腹立たしいやら意味がわからないやらでかなりパニックだったが、
人に話せる面白いネタができてよかったじゃないかなどと落としどころを考えてた。
が冷静に振り返ってみると何かが変。女はなに見てんだよと言ってたが
その女が振り返ったことなんてなかった。
女が知らない男に罵詈雑言を吐いている時彼氏らしき男は何してた?何もしてない。
というか何事もなかったように普通に歩いてた。一瞥もせずに。
霊感なんてこれっぽちもない自分に起こった出来事だから、
その女が生身の人間だったのかそうじゃないものなのか知るすべもないが、
おそらく最初で最後であろう知らない女に下種野郎と呼ばれた話。

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