刑務所で体験したほんのり怖い話

908 :本当にあった怖い名無し:2009/07/08(水) 17:43:01 ID:dxSBde260
刑務所で体験したほんのり怖い話1

 看守を拝命して一年目,俺は夜勤の交代員をしてた。
交代員は,自分が勤務している間に正規の担当さんに休憩してもらうのが役目だ。
その日も,いつもどおり勤務していた。
 午後10時25分ころ,A主任看守の交代に未決区へ向かった。仮に甲舎と乙舎としとく。
いつもなら,既に舎房の前に出て待っているはずのAさんがいない。
しばらく待っても出てこないので,俺は甲舎を覗き込んだ。
普段の巡回経路からすれば,甲舎から出てくるからだ。
夜の刑務所は薄暗いながらも,担当台のライトが点いているので人がいるかいないかくらいは分かる。
15mくらい先に,ゆらゆらっと歩いてくる人影が見えた。
安心して待っていると,後ろの乙舎側からAさんが現れた。
「おー,○ちゃん,悪い悪い。××(収容者)がグズグズ言ってきてなあ,遅くなったわ」と何食わぬ顔のAさん。

一体俺が見たのはなんだったんだ?ゾッとしてもう一度甲舎を覗いたが,そこには誰もいなかった。

その2

 1の話から数年後,
夜勤の中で少し出世した俺は,病舎と独居の担当をしていた。
この箇所には,別棟で保護房も建っていた。
保護房というのは,暴れたり,大声を出したり,自殺自傷をやるような困った子を,一時的に入れる特殊な部屋だ。
 ある日の午前1時10分ころ,あと少しで仮眠時間に入るので,最後の巡回をしていた。
この日は保護房への収容はなかった。
病舎から独居へ向かって廊下を歩いていると,右手にある旧保護房からジャーーーっと便所の水を流す音が聞こえてきた。
保護房への収容はないため,電気は点いていない。
後輩のNが小便でもしたのかと思い,鍵を開けてみたが,誰もいない。
保護房は特殊な構造の部屋のため,便所の水は部屋の外のスイッチを押さなければ流れることはない。
仮眠時間となり,ビビった俺は後輩のTと一緒に旧保護房へ向かった。
この保護房は,新しいものが建てられてからは使われることはほとんどなく,2年くらいは使っていなかった。
普通なら,便所の水は枯れ果てているはずなのに,確かに水が流れた痕があった。

流れるはずのない便所の水が,どうして流れたんだろうか…。

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