あとから来てるぞ~
東京の目黒に高台に続く長い坂道があるんですよ。 それで登り切ったあたりに巨大な壁があって、そこにポッカリとトンネルが口を開けているんですね。 その上はっていうと、その昔第二次世界大戦の頃には東京湾から侵入してくる敵機に向けて、 高射砲があったそうですが今はもちろんないんですよ。 その台座だけは厚いコンクリートで残っているんですが、それも今は雑木林で隠れてしまっている。 それで、そこの斜め下あたりの所に、これもまた昔オバケ煙突があったんですね。 三本あって、角度によっては、それが1本に見えたり2本に見えたりしたっていうんですね。 わたしも実はそれ見た事があるんですよね。 そんな事からこちらトンネルなんですが、なんのかんのと怪談話がついて回るんですね。 昭和の終わりなんですけど、高校の部活で一団がそこを走ってきた。 長い坂道をやってきて、その集団からちょっと遅れて一番最後を走っていた部員がそこで倒れちゃったんですね。 それで亡くなっちゃった。ところが、誰もそれに気づかずないでそのまま行っちゃったっていうんですよ。 それからそこを夜一人で歩いたりすると、その部員が後から追ってくるっていう話があるんですね。 これ真実の所は定かではないんですが、わたしの所に出入りしているマスコミ関係の人間がいるんですよ。 この彼が、7~8年前に仲間とそこに行った事があるっていうんですよ。 自転車で、3台続けて坂を登って行った。坂道は長い。ずっと上り。段々と距離が出来てきちゃった。 それで、彼は一番最後になっちゃった。一番最後で焦って登ろうと思うんだけど、なかなか大変で進まない。 やがてふっと前を見ると、巨大な黒い大きなトンネルが口を開けている。壁のように迫ってくる。 彼がトンネルに入った。先頭を行っている2人はどうやらもう出口のあたりまで行っているらしい。 遅れちゃいけないから、一生懸命自転車を漕ぐ。 ギーコーギーコー... と、前を行く2人がふざけ半分で、わざとおどろおどろしく、 「お~い!あとから来てるぞ~」って言った。 それがトンネル内で反響してこだまするんです。 (お~い!あとから来てるぞ~) (お~い!あとから来てるぞ~) (お~い!あとから来てるぞ~) (お~い!あとから来てるぞ~) (.....あとから来てるぞ~) 「あとから行くぞ~」 という声が、後からいく彼の耳に入った。 嫌だ!と思ったから、慌てて自転車を漕いだ。 思いに任せて、必死に漕いだ。でもなかなかあがらない。 タッタッタッタッタ.... 走ってくる足跡がする。 一生懸命自転車を漕ぐんだけど、どんどんどん近づいてくる。 タッタッタッタッタ.... どんどんどん近づいてくる。 真っ暗闇の中、一生懸命自転車を漕いだ。 タッタッタッタッタ.... (うあああああああ....) すぐ近くまで来て、足跡の音が消えた。 消えたと思って一生懸命漕ぐんだけど、ペダルが重い。 と、漕いでいると耳元で 『あぁ..やっと乗れた..』 って声がしたっていうんですよね。





