季節外れの怪談でもするか

459 :本当にあった怖い名無し:2012/07/25(水) 16:14:19.60 ID:OR/6CcBl0
小学校4年の時だったかな・・・
まあ三学期も終わりに近い、いわゆる消化授業みたいな時間で担任の先生が「季節外れの怪談でもするか」となった。
男子も女子もなく面白そうとなって怪談話が始まった。

たぶんそれまでにないくらいに先生の話に耳を立ててみんな聞いていた。
というのも怪談話をする時のボソボソと喋る感じで先生が話していたので
静かにしてないと聞こえないからってのもあった。

その怪談というのは恐らくは先生の創作なんだろうけど
かいつまんで要約すると
その地域にあった稲荷神社にある狛犬・・・じゃなくて狛狐?稲荷像?
あの石で作ってあるやつが
あるとき子供の悪戯で右側の耳がなくなってたらしい。

まあ最近で言えば波平さんの銅像の毛がなくなってたとか、そんなノリだと思う。
その男の子はそれくらいの時期から変な夢にうなされるようになったとか。

ある朝、いつまでも起きてこないその子の母親が部屋に起こしに行ったら
布団にくるまってガタガタ震えながら何やらブツブツ言ってたそうな。
「どうしたの?」と聞いてもブツブツ言ってるだけで何を言ってるのかわからない。

布団をバッとはがしてみると、その子は丸くうずくまって両耳を押えて
「あいつが耳を取りにくる・・・耳を取りに来る・・・あいつがくる・・・」とブツブツ呟いていた。

母親がその子に問いただすと神社で遊んでいて狐の耳を壊してしまった事を告白した。
狐の祟りかもしれないと思った母親は、その辺りでは有名な憑き物落としの寺に行き
住職にお経を唱えてもらった。

お経が始まると男の子はこの世のものとは思えないような声で喚きはじめた。
「私は〇〇神社のつかいのものである!」
「こいつから奪えないのであればお前から奪う!」と叫び
住職の耳に噛み付き食いちぎろうとした。

住職は「耳が欲しいのか」「私の耳をやってもいいが今はダメだ」
などと冷静に淡々とその狐と話し合いをしていた。
次の瞬間、周りにいた三人の弟子のお坊さんに目で合図をすると
一人は両手を押さえ、後の二人はそれぞれ片方の足を押さえて
本堂の床に張り付けの状態にした。

暴れる男の子の胸に住職がお経を唱えながら数珠をあて
お経の最後に「えええぃっ!」っと押しつけると数珠が弾け飛び
男の子も気を失ったようにおとなしくなった。


そのあとはその子の父親と母親が新しい稲荷像を寄進し、事はおさまった。

なんてな話だったんだけど、話が終わった時にはちょっと泣いてる女の子もいたりして先生もちょっと困ってた。
俺はなんとも言えない感覚で、本当の話なのか作り話なのかどっちなんだろなぁと自分の世界で思いを巡らせていた。

下校の道を何人かの友だちと歩きながら
「ちょっと怖かったよな」とか「あんなん怖くねーよ」とか言いながら帰っていた。
田舎だったもので田圃の中の一本道と言ってもおかしくないような道で、
途中に牛を飼ってる家があったり、横道を入っていくとそこそこ大きな寺があったり。

一山超えた隣町には稲荷かどうか解らないけど神社があったなぁ。
その横道の入口近くに差し掛かった時に、
まさかこの寺じゃないよななんて言いながら通り過ぎたものだった。

それから数年たって俺は自動車関連の会社に就職した。
もちろんその怪談の話もすっかり忘れてたんだけど、
その当時の担任が校長になって
その学校にまた帰ってきたって聞いたもので挨拶しにいった。

久しぶりに会った先生は笑顔で迎えてくれて他愛もない話しをしてた。
「先生、髪の毛・・・ちょっとキテるんじゃないすか?」とかって。
そんな話しをしてると急に先生が「おまえ、あの話覚えてるか?あの怪談」って言うのよ。

以下会話

俺:「ああ・・・あれね。なんとなく覚えてますよ」
先:「そか、あれはお前らにすまない事したなぁと思ってね」
俺:「泣いてた子もいましたもんねw」

先:「あれからお前なにもないか?夜寝れないとか」
俺:「んな事なかったなぁ・・・まあ今はもう子供でもないしw」
先:「そか。じゃあ良かったがちょっと気になっててな」

とかなんとか言うわけ。
俺は単純に、泣いた子もいたもんで遊び半分での怪談だったとは言えやりすぎたかな・・・
なんて先生も思ってたのかなと感じたわけ。
そしたらさ、先生が急にクソ真面目な顔して「いや。すまなかった」って頭さげるわけ。

俺も「いやいや。そんなあらたまってww」なんて返したんだけど
なんとなく居心地悪くなって「じゃ・・・そろそろ」って帰った。
先生も「わざわざありがとうな。気を付けて帰れよ」とか言ってたけど
今思えばなんか目が笑ってなかった。

帰りに久しぶりに実家に寄るかと思い、子供の頃下校で歩いた道を車で走ってた。
こんな狭い道だったかなぁ・・・なんて思ったが成長したら子供の頃に見てたもののスケールって変わるよなって思いながらだった。
距離にして1.5キロくらいなはずなんだがなかなか実家が見えてこない。

田舎の一本道だし間違えるはずもないんだが1時間ほど走ってるのに全然景色が変わらないような気がしてた。
寺にあがって行く横道も見えてこないし、さすがの俺もちょっと気味悪く感じてきた。
いくら数年ぶりとはいえ間違えるような道でもないし・・・と車を走らせてたら右の前輪がガタンって穴にはまるような感覚があって車を止めた。

田舎道だし道路が軽く陥没してたんだろと思い、確認の為に見てみようとドアを開けた瞬間に「うわあああ!」と声をあげた。
ドアの下には無数の目だけがあってその全部が俺を見てる。
どこに目をそらしても必ずどれかの目と俺の目があってしまう。
その目がぜんぶ狐目なわけよ。

大人になってから何かが怖くて声上げて叫ぶとか後にも先にも記憶がないってくらい叫んだ。
何かの見間違いだと思い目をつぶったままドアを閉めてフロントガラスに目をやると
普通の田舎の一本道が見える。
右を見ても左を見ても普通の田舎の風景。

まあとにかく車を出そうとアクセルを踏むと、今度は穴にはまった右の前輪が抜けないのか、いくらエンジン吹かしても前に進まない。
そしたらどこからともなく「見つけた・・・見つけた・・・」って声が聞こえた。
その声はだんだん近づいてきて、でもそれがどこから近づいてくるのか解らない。

どうしようもなくて車の中でガクブルしてたらガッシャーンって車に衝撃があってそこから記憶にない。
後から聞いた話しだが海岸沿いの道を走っててハンドル操作を誤って防潮堤にぶつかったという事故を俺はおこしたらしい。
そうとうのスピードだったらしく車は全損、生きてるのが不思議なくらいの事故だったとか。
てか俺はその道を走ったこともないし、確かに田圃の中の一本道を走ってたんだが・・・

通りかかった人が通報してくれて救急車で運ばれたらしいが、そう言えば救急車の音がしてたのはかすかに覚えがある。
病院で処置されて1週間ほど意識がなく、これ以上意識が戻らないと植物状態でしょうねとか言われてたらしい。
意識が戻ってからしばらくして、友達なんかが見舞いにきてくれたりしたんだがそれもあんましハッキリした記憶の中にない。

ただ救急車の音と一緒に「しくじった・・・」という
この世のものとは思えないような声を聞いたのはハッキリと意識の中にあった。
それからもう少し回復しないとその声の意味はわからなかった。
事故のショックで頭を激しくぶつけてた影響で脳が腫れて脳圧が高く
しばらくは頭蓋骨をあけたままにしてあった。

徐々に腫れもひいてきたので手術して頭蓋骨をかぶせてっていう処置をした。
手術後に鏡を見たら自分でも「これ誰?」って言うくらいに顔が変わってた。
その時に気付いたんだけど右耳がすっぽりかぶさるくらい大きなガーゼが貼り付けてあった。
看護婦さんに聞くと「あんまし言いたくないけどねぇ・・・右耳がほとんどちぎれててね」とか言うわけ。
「えっ!」とか言うと「ちゃんと手術でくっつけたから大丈夫ですよ」とか言うわけよ。

数日してその怪談の先生が見舞いに来た。
で、やっぱ「すまなかったなぁ・・・」って言うわけ。
俺は「別に先生のせいじゃないしww」って言ってたんだけど先生が急に強い口調で「俺のせいなんだよ!」って。
ビクッってなって「どういう事?」って聞いたら、あの怪談は実話でその少年は先生自身だったんだとか。

自分は御祓いしてもらったから助かったんだけど
狐が去っていくときに「必ず取り返す」って去っていったんだって話してくれた。
なんで俺の耳を取りに来たのかはわからないけどね。
あ。俺もちゃんと退院してから御祓いに行きましたよ。

規制とかなんとかで長々とすいませんでした。
以上っす。

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