訪問販売がきていた

360 :本当にあった怖い名無し:2010/02/05(金) 01:55:38 ID:D1VtBNpX0
つい先日兄がアパートに遊びに来たときの話です。
連絡もなく早朝からやってこられたあと、私はベッドで寝そべっていましたが目が覚めてしまい眠れません。
兄は持ってきたDVDを見ていました。アパートのチャイムがなったのは二本目のDVDを見始めたころです。
アパートのチャイムがなり、兄が言うには見たまんま訪問販売がきていたそうです。
とぎれとぎれの会話で兄が断っても相手がまた勧めてくるようで、大丈夫かとベッドからでて様子を伺ってみると
なんだか聞いているうちに話が訪問販売というよりも兄を口説いているようで、よーく聞いていると
兄に対して「買わなくてもいいので見ていてください」「舌の色がきれいだ」といった言葉をかけています。
どう考えても話を続けるのは危ない感じの人でしたが私はどうすればいいかおろおろしていると、気の抜けた相槌ばかりしていた
兄が突然戸を閉めて何事もなく戻ってきたのです。(どうもずっと戸を開けっ放しが寒かったらしい)
戸を閉めたのはいいのですが、相手が何かしだすのではないかとびくびくしていましたが、いきなり戸を閉められたにも関わらず
相手からなんの反応もなく、覗き穴からも相手の姿は見えませんでした。
それだけでも小心者の自分には怖かったのですが、肝を冷やしたのはそのあとのことです。

夕方になり、そろそろ兄が帰ろうとしていた時にアパートの戸をノックする音がしました。私は朝のことを思い出し、無視しようと
しましたが、兄は朝のことをすっかり忘れて戸を開けようと玄関に向かいました。あわてて兄を止めに玄関へいくと
兄は戸を開けずに台所で立ち止まっています。どうしたのだろうと理由は一目でわかりました。
アパートの戸にある新聞の受け口から指がでているのです。指はゆっくり中に入ってきて、そのたびにノックのする位置が低くなっていきます。
五分ぐらいかけて手首まで現れると、今度は外からのノックのかわりに中に入った手が内側の戸を引っ掻き、外からははあはあと荒い息が聞こえてきました。
腰を抜かした私の前では兄がいまだにまじまじとその手をみていました。そして、私がへたり込んでいるのに気付き、台所のガス台で火にかけていたヤカンを持つと
その手に躊躇なく熱湯をそそぎました。
熱湯をかけられた途端、手は魚のようにびたんと飛び上がって皮膚は真っ赤になり、皮膚をひっかけながら受け口から抜け出て、その間にも男のうめき声がします。
声の感じから訪問販売の男だと・・。(もし違ったらそれはそれで怖い)
しばら唸り声は続きましたが、兄が戸を蹴飛ばすと唸り声が止まり足音が遠ざかって行きました。

昔から兄が変わり者であるという認識はありましたが、正直人が腰を抜かしている出来事をひょうひょうと片付けるとは思いませんでした。

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