戸締りを忘れるな

347 :本当にあった怖い名無し:2010/02/04(木) 19:27:07 ID:by/kt61D0
小5の頃、両親が法事で一晩だけ家を空けることになった。
子供一人だけで留守番させることを心配した両親には、一緒に来るよう言われたが、法事とか大嫌いだったので必死で固辞した。
結局自分の意思を押し通して、一人で留守番することになり、両親は戸締りと火の始末だけは絶対に気を付けろと言い残して出かけていった。
普段口うるさい両親がいないという開放感から、その日は遅くまで遊び歩いて、自宅のあるマンションに帰りついた頃にはすっかり日が落ちていた。
玄関の鍵を開け、鞄を自分の部屋に置きにいこうとした所で、両親の「戸締りを忘れるな」という言葉を思い出し、先に扉の鍵を閉めた。
改めて鞄を置きにいこうと、鞄を持ち上げた瞬間、背後で「ガチャガチャガチャガチャ」と激しい音がした。
振り返ると、ドアノブが凄い勢いで回され、何者かが扉を開けようとガタガタ揺らしていた。
「えええええええええ?」と訳も分からず凍り付いて見ていると、10秒ほどでドアノブは動かなくなり、「チッ」という男の舌打ちの後、カツーン、カツーンと足音が遠ざかっていった。
自分はしばらくの間何が起こったのか理解できず、玄関で立ちつくしていた。
玄関の小さな明かりしか点けていなかったので、居間のほうから迫ってくるような闇がもの凄く怖かった。

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