後から隣に入居してきたカップル

12 :本当にあった怖い名無し:2009/10/16(金) 17:55:48 ID:yuh2jVOHO
以前住んでいたマンションで、後から隣に入居してきたカップル。
入居後しばらくしてから夜中に大声でケンカしている声が聞こえたり、夜中に掃除機かけたりして「変な人だなあ」と少し怖かった。
たまに女のほうと廊下ですれ違うんだけど、こっちが挨拶しても聞こえないのか無視なのか、いつも虚ろな目でフラフラ歩いてた。40歳手前くらいで、元は高そうだが薄汚れた服を着て、化粧だけは派手でいつも酒臭かった。
男のほうは一度も見たことなかった。

ある日台風がきて、うちのベランダと隣家のベランダの間にあった仕切り(火災時なんかにぶち破って避難できるやつ)が、強風で外れてしまった。
元々ネジがゆるんでたんだよね。

つまり、二部屋のベランダは繋がった状態になり、仕切りの残骸が横たわっていたんだけど当時は仕事がとにかく忙しくてほとんど家にいなかったし、盗られるものもないし、ベランダに面した窓は二重だったしで、しばらくほったらかしだった。隣人も何も言ってこなかった。
ある日仕事に行こうと支度をしていたら、インターホンが鳴った。出てみると隣の女。
鍵を忘れたので、ベランダ伝いに家に入りたいと言う。窓の鍵も開いているはずだと。仕事前で急いでいたし、断るのも怖かったのでしぶしぶベランダに通した。
汚い靴下で上がり込んできた女からは酒の匂いと、ホームレスのような臭いが少し漂ってきた。
ベランダに出た女に「大丈夫ですか?入れますか?」と聞いたら、やはり鍵がかかっていると。
やれやれと出てもらおうとしたら「どうにか窓割ってでも入るから平気」とヘラヘラ笑いながら言う。
上に書いたように窓は二重だし、針金が入っているし無理だろうと焦って説得したが、女はベランダに座り込み「夕方になれば同居人も帰ってくる」と動く気配がない。

仕事の時間も迫っていたし引きずり出すわけにもいかないので仕方なく女にそう告げ、うちの窓の鍵を閉めることに同意を得て家を出た。
一応マンションの管理人に一部始終を話して仕事に出掛けた。

深夜に帰宅し、恐る恐るベランダを見たがもう女はいなかった。
後日管理人に話しを聞くと、管理人が外からベランダを見た時、女は自室の窓をカバンで目茶苦茶に殴り続けていたそうだ。
管理人が注意しても「うるさい!」と怒鳴り返し、警察まで来てやめるよう説得し続けたが一向にやめず、急に静かになったので逆隣りの家のベランダから覗いたところ、酔いが回ったのか寝ていたそうだ。

最終的に部屋の保証人と管理会社に連絡をして部屋の鍵を開け、どうにか女を部屋に入れたと。
部屋の名義人は男のほうだったらしいが連絡がつかなかったらしい。

この騒動に多少の責任を感じ、後日逆隣の家と管理人に菓子折りを持って行ったが、両方と「あまり関わらないほうがよさそうだ」と意見が一致した。
その後も女と何度かすれ違ったが、相変わらず虚ろな目でフラフラと歩いていた。

気味が悪かったなあ、と今ではいい話しのネタ。

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