うっすら影

349 :本当にあった怖い名無し:2009/09/25(金) 00:05:06 ID:cML4lwPh0
家族話続きで。
二十歳の時に母親が亡くなって、何度目かの夏。仕事の関係で休みが取れなくて命日には実家へ帰れなかった。
その朝も同じように出勤しようと玄関で靴を履こうと屈んだら、少し暗くなった。玄関はドアの横に曇りガラスがあって人が立つとうっすら影が出来る。
「ああ玄関のドア前に男の人がいるな」
そう思って、朝から住人と会うのも億劫だ、と思い少し待ってから出ることにした。影がなくなったので急いで出る。その影がなくなってからすぐ出たはずなのに人がいない。いるとしても夏休みのこどもがいるくらい。
変だな、とは思ったけど遅刻すると思いそのまま出掛けた。

帰って来てからご飯をつくりながらさらに変だなと気付く。キッチンは玄関前廊下に面してて、同じように曇りガラス。
ふと人が横切ったので朝と同じように見ると、曇りガラスだけど色は確認出来るんだよね。
朝のはただの黒い影だった。そもそも、なんで男の人だ、とまでわかったのか。

そしてその日の夜は具合悪くてベッドで悶絶。まったく原因不明。ふとメールの着信で目が覚める。
メールは兄からで「遅くなったけど、命日ですね」と。
ぞぞっとした。

翌月になって、ようやく休みが取れたので実家に帰省。父と酒飲みながらその話を出してみた。
「そういやおれもな」と霊感なんぞ無縁だった父が語ってくれたのが以下。
やはり命日の日に体調が悪かったらしく、早々に寝た。朝方、急に目が覚めてもう朝かなと窓のほうを見た。窓はベッドの際にあるんだけど、そこのカーテンが揺れていた。窓を開けっぱなしだったかなとぼんやり見てると。
女の顔がすうっと落ちた。
母でもない、見たことのない顔だった。
偶然にしても母の命日ということもあったので、お互い不思議がった。
ただ、何故現れたそれが母ではないものだったのかということが不安。

長文でスマソ。

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