おふじ山

841 :おふじ山 1:2009/08/23(日) 04:16:38 ID:NHh6Xd6m0
実話。私が小学3年生の時の出来事。

毎年恒例の運動会が9月半ば頃に開催された。
4つ年上の兄は卒業して一足先に中学生になっていたが、
その日兄は友達数人と運動会に遊びに来ていた。
(あくまで私の応援が目的ではい)

なんの競技だったかは忘れたが、
私たちのクラスが参加する競技の順番が迫り、
先生の指示通り入場口手前で整列し体育座りで待機していた。
しかし運の悪い事に私の隣に座っていたのはA君。
彼はもともと落ち着きのない子で、
その待機中も案の定、私や周りの子達にいたずらしたり
ちょっかい出したりしていた。
どちらかというと真面目な性格だった私は彼にイライラし始め、
「A君、先生に言われた通り静かに座ってなよ。
そんな悪いことしてたら警察呼ぶからね!」
と脅した。
なぜ警察と言ったのか、今思うと自分でもちょっと不思議だ。
お母さんに言うからね、とか
先生に言いつけるからね、とかの常套文句ではなく
なぜか「警察」と言ったのだ。

そして次の瞬間、ギョッとした。
体育座りしていた私たちの方へ、本物の警察官が2名、足早に近づいて来たのだ。
つい「いや、私、呼んでないよ?」などとうろたえた。
しかし警察官達は私達には目もくれず、横を通り過ぎて奥へと消えていった。

ここで小学校の配置を説明すると、
校舎・校舎の前に校庭・その更に奥がおふじ山と呼ばれていた小さな山。
つまり校庭が山と校舎に挟まれた配置になっており、
競技を行う校庭への入場口は山を背にするように設置されていた。

警察官が向かったのはその山だった。
簡単なフェンスで校庭と山は仕切られていたが、
山に入り込める場所もいくつかあった。
私は何事かと警察官の向かった山の方を見ていると、
兄と兄の友達が青ざめて出てきた。
そうこうしている内に競技の順番が回って来て、
兄とはその場で話せず仕舞い。

だが運動会が終わらないうちに、
一体何があったのかという話は児童たちに広まっていた。

兄たちはなんと、山の中で自殺者と思われる腐乱死体を見つけてしまったらしい。
「首吊りだと思う、縄がぶら下がっていたから。
でも死体は地面に落ちていた」…と兄はその日の夜教えてくれた。
カラスが群がっていた、とも。

昔から自殺者が多数出ている場所だと言われていたが、
リアルタイムに死体を発見したところに居合わせたのは初めてだった。

今地元から離れた場所に住んでいるので、
今度帰郷した際には母校に足を運び、山の様子でも見てこようと思う。
毎日毎日山の上を飛び回っていたカラスの大群も健在なのかなあ。
ちなみに、山の中に入る勇気は流石にない。

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