中の間

136 :本当にあった怖い名無し:2009/08/09(日) 03:35:45 ID:D5yMjMFx0
実家は古くて部屋数が多い。
仏間の奥に「中の間」が二つあって
奥の中の間に葬式前に曽祖父の遺体が置いてあったのを
当時五歳だったがぼんやりと覚えている。
葬式の準備が整うまで親類縁者が次々と中の間へ入って
曽祖父と別れの挨拶をしていた。


窮屈な雰囲気。天井を見ている自分。
寝かされていることに気がつく。
逆光で見えないが着物を着た女の人たちが
次々と取り囲むように自分を覗き込んでいる。
顔と顔の間から見える天井の模様で「中の間」だと解った。
真上しか見えないから自分は「箱」に入っているのだと解る。
「…お姉さんの…」「……早かったね…」「○○さんは…」
かすかに聞こえる会話。誰かの手が伸びてきて私の目を閉じさせた。
暗転…そこで目が覚めた。

どうやら自分は死体だったらしいのだが、○○さんは曽祖父の祖母だったはず。
実家は兄が継いでいるし、自分は嫁に出た人間。
写真すら残っていない昔の人の夢?
とりあえずお盆に墓参りしてこようと思う。

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