民俗舞踊の継承者

800 名前:水先案名無い人[sage] 投稿日:2009/05/14(木) 22:31:17 ID:fJjfVxXr0

子供の頃山間の田舎に住んでいたんだが、その集落に変な少年がいた。
そいつの父親がその地域に伝わる民俗舞踊の継承者で、手ほどきを受けていたせいかそいつはいつも化粧具を持ち歩いていた。
その舞踊の特徴が顔やら胸やらに模様を描くことで、そいつは体育の前とかに化粧具の中から液体を顔に塗りたくっていた。
「それ材料なんなの?」って訊いたら真顔で「色をつける草と俺の小便」と返されて引いたことも。
何でも自分の体液と草からとれた染料で模様を描くことで体の内外から力を取り入れるとかで。
まあ俺もその頃幼かったし、変な奴だなあとしか思わなかった。顔はかっこよかったし普通に付き合っていた。
そんなある日。
学校帰りに隣村の素行が悪いことで有名なおっさんが、村のお偉いさんの家の前でどなり散らしていた。
内容は覚えていない。そのおっさんを少年が注意したんだよ。そしたらおっさんに拳骨で殴られてね。鼻血が出たんだ。
そしたらさ。そいつが鼻血を顔中に塗りたくるんだよ。唖然としたおっさんをしり目にその儀式を終えた少年は、グーで殴り返した。
すると、おっさんが腹押えてうずくまるんだ。大の大人が小学生のパンチでだぜ?それでいびきみたいな喘ぎ声を漏らしてうずくまってた。
結局おっさんは町の病院に運ばれ、少年も手首の骨折で暫くギプスをはめてた。
拳を壊す、というのを見たのはこの一度きり。

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