愛用のバイクごと忽然と姿を消した

302 :1/2:2009/05/09(土) 23:16:08 ID:wosBHsFy0

以下の話は実話だが、結局何がどうなのか良くわからない話。
明確なストーリーがないとイライラする方はスルーしてください。

 ↓

オフロードバイクが趣味の友人Fが、2年前、ツーリングに出かけたまま消息を絶った。
Fの好きな山間部の林道を走りに行ったものと思われるが、谷に転落したのか、熊にでも襲われたのか、とにかく愛用のバイクごと忽然と姿を消したのである。
現在もFの行方は知れず、警察もとうに捜索を打ち切っている。

消息を絶った当日、Fのマンションの監視カメラには、まだ暗い早朝からツーリングに出かけるFの姿が写っていたという。
監視カメラに写っていたFの様子は、明らかに正常ではなかったようである。
精神状態が異様に高揚している様子が見て取れ、監視カメラに向かって笑いかけ、拳を突き出して見せ、飛び跳ねるように駐輪場に走ってゆく姿が写っていたらしい。

実際、消息を絶つ半年ほど前からFの言動は常軌を逸していた。
常に何かに怯え、話す内容は脈絡を欠き、話しながら異様に興奮するようになっていた。
幾人かの友人達に語った彼の話を、無理やりつなぎ合わせると、以下のようになる。

「奥深い山中には、ほとんど廃村と化したような集落が多数存在する。
それらの集落では、下界から地理的・文化的に隔絶していることから、特殊な文化的発展を遂げる場合がある。
特に注意すべきは、特殊な祭礼が行われる場合であり、祭礼の結果出現する者がいるが、その者と契約してはならない。
自分は不意を打たれたので契約してしまった。今後のことがとても心配である。」

常識的に判断すれば、Fは統合失調症を発症しており、何らかの妄想を描いていたのであろう。
ツーリング先の山道で、幻覚を見たか幻聴を聞いたか等の理由で、山に迷い込み、そのまま失踪したのだと思う。

ただ、ある友人は、Fが語っていた話の内容に妙な一貫性というか、統合失調症の妄想とは少し違う感じを受けるという。
だとすれば、Fはやはり山で実際に何か体験したのかも知れないし、山という所はやはり異界なのかもしれない。

前の話へ

次の話へ